電気ストーブ化学物質過敏症に関する国内PL判例(080611)
「電気ストーブから発生した化学物質によって化学物質過敏症に罹患した」と原告が主張した化学物質過敏症に関する東京高裁判決は、重要な先例判決になると言われています。
従来は化学物質過敏症のような化学物質による健康被害については、「原告が被った被害と、製品の欠陥との因果関係が立証されていない」として、原告の主張を退けるケースが多く見受けられました。しかし、本判決では、この「因果関係の立証」に関して原告に有利な見解が示されています。
今回のPL情報では、商品の欠陥と化学物質過敏症の罹患の間の因果関係が問題となった本件と、15年前の類似事件の2つのリーディング判例を比較しながら、化学物質過敏症に対する日本の裁判所の考え方の変遷を検証します。
化学物質過敏症の問題は、化学品や医薬品のメーカーといった化学品を直接扱うメーカーだけでなく、それら化学品を組み込んだ建材・家具メーカーから、電気機械製品のメーカー、玩具や生活用品メーカー、繊維メーカーなど多岐に及びます。したがって、本判決は多くの業界で参考にすべき事案といえます。
また、本件ではPL法適用の輸入業者ではなく、電気ストーブを販売した大手販売店に賠償責任が課されている点も注目されます。このような判決は、全国展開の大手スーパー、百貨店、大手量販店などにとって脅威といえます。今回のPL情報では、大手販売店に求められる『製品の安全確保義務』とはどのようなものか?についても、分かりやすく解説しています。