インターネットビジネスとPL――電子商取引(E―Commerce)と裁判管轄・明示の保証(180530)
グローバルビジネスが盛んな時代となり、今や英文ホームページで、商品の販売・注文の受付を行っている中小企業・小規模事業者も珍しくなくなってきました。しかし、電子商取引にPL(Product Liability)リスクは潜んでいないのでしょうか?次のような想定事例が考えられます。
日本酒の酒造会社が自社のホームページで英文の解説付きで自社の地酒を販売していたとします。このホームページから米国人が日本酒を購入し、自宅の冷蔵庫に小分けして保管していたところ、水と間違えて子供が一気飲みして急性アルコール中毒になったと仮定します。日本酒を購入した米国人は、「この日本酒は英文ホームページで宣伝し、米国人をターゲットにしていたにも係わらず、購入した日本酒の一升瓶には英文警告ラベルは一切なく、同封の英文説明書にも警告文は一切入っていなかった。警告懈怠の過失責任や、警告不備があった欠陥品でありPL法理(厳格責任)上の責任もある」と主張して、米国の在住州の連邦地裁に、子供の治療費、慰謝料などの損害賠償を求めるPL訴訟を起こしました。
被告となった日本の酒造会社は弁護士を雇い、「ホームページで英文切り替え表示ができるようにしているが、特に米国人をターゲットとしているわけではない。当該州の住民に販売したのは、これが初めてであり、米国の当該州に裁判管轄権はない。また、お酒と分かっていながら、子供の手の届く所に小分けした親の不注意が事故の近因である」などと、反論することが予想されますが、この反論で訴訟を乗り切れるでしょうか?
そこで今回は、PL(Product Liability)の観点から見たこれら英文ホームページの気になる点、すなわち次の2点について調べてみました。
(1)英文ホームページが、米国の裁判所への出頭を命じられる国際裁判管轄権を発生させないか?
(2)英文ホームページの記述が、米国の原告側弁護士から「明示の保証(express warranty)」に該当する記述であると追及されないか?
本資料が貴社のリスクマネジメントにお役に立てば幸いです。
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*地域:米国、日本