『食品容器製造機』 のPL判決紹介 (020418)
本ケースは、1995年にPL法が施行されて以来、同法に基づく産業機械に関する初めてのPL判決と言えます。
本ケースは、プラスチック製の食器容器を製造する油圧裁断機に付設された自動搬送装置において、作業員が機械が稼働中に荷崩れした食品容器を取り除こうとして、頭部を挟まれ死亡したものですが、「稼働中の機械の、上昇直前のリフト上に身を置いた危険な清掃作業」を、「誤使用」「異常使用」として片づけず、「メーカーとして合理的に(十分に)予見すべき使用」として高裁が裁定したことは画期的と言えます。
本ケースは、アメリカのPL裁判では広く普及した「誤使用」に対する考え方である「合理的に予見可能な誤使用(reasonably foreseeable misuse)」の考え方を導入しています。アメリカのPL裁判ではメーカーに対し、「製品の誤使用であることは確かだが、そのような誤使用が、人間工学的に見て一般の人であれば誰でもやりかねない誤使用であり、その結果、人身傷害が起き得るならば、メーカーは設計や警告といった、何らかの安全対策を取らねばならない」としています。
1998年に実施された民事訴訟法の改訂(新民事訴訟法)は、その改訂のほとんどがアメリカの訴訟手続法を参考にしていましたが、PL法という実体法においても、アメリカ司法の考え方が徐々に導入されつつあるとの感がする判例です。
東京高裁判決(平成13年4月12日)
(1)被告 機械メーカーに対し:原告勝訴
(2)被告 雇用主に対し:原告勝訴、控訴棄却。
◇夫へ 575万円(請求額 1870万円)
◇各子供 916万円(請求額 1921万円)
合計 2407万円(過失相殺後の金額)
*故人の作業員(主婦)の過失相殺 :5割