ソフトウェアとPL【前編】――欠陥ソフトウェアのPL上の責任(160826)
今日ではソフトウェアは我々の日常生活のあらゆる分野に浸透しています。家電製品はもちろんのこと、航空機や鉄道などの公共の輸送手段、病院の監視モニター、銀行のATM、自動車に至るまで枚挙にいとまがありません。産業用製品にしても工作機械のようなコンピューターに制御された個々の機械の時代から、ファクトリー・オートメイション時代、更にはインターネットにより、工場内外の製品の部品や製造装置などのモノとモノ(IoT:Internet of Things)を連携し、自律的に動作するインテリジェントな生産システムを構築したスマート工場をめざすインダストリー4.0の時代に入ろうとしています。いずれにせよ、各種センサーや通信機器、それらを制御するコンピューターにはクラウド方式であろうが個別方式であろうがソフトウェアは欠かせません。
コンピューターの利用が拡大する現代社会では、ソフトウェアの重要性は増す一方です。しかし、ソフトウェアのプロバイダー(開発者、メーカー)は、それに見合った利益の享受と責任の分担をしているでしょうか?ソフトウェアのメーカーに対し、もっと責任を課すべきだとの意見がある一方で、それは無理との意見もあります。そこで今回は、当社の『PL情報』の前身である『海外PL情報』の1988年No.3号で取り上げた「ソフトウェアのPL問題」について、最近の判例動向を踏まえ、前編と後編の2回に分けて改めて紹介したいと思います。
前編では、次ページの目次にあるように、まずソフトウェアの不具合が社会にもたらす影響の大きさを、事例を通じて実感していただきます。次いで、PL問題として扱われるソフトウェアは、コンピューター関連だけでなく無体動産である本、地図、航海図のようなメディア情報にも及ぶことを紹介します。そして前編の最後にコンピューター用ソフトウェアの欠陥に対するPL追及法理について解説しています。本資料が今後の貴社のリスクマネジメント、PLディフェンスに少しでもお役に立てば幸いです。
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*地域:日本、米国、海外