2020年食中毒統計――食中毒の現状と傾向(210528)
食品は一般消費者にとって、最も身近で必要不可欠な製品の一つであり、日々大量生産と消費が行われています。しかし、食品には「人が口にする」「消費されるまでの時間が短い」「基本的には保存期間が短い」など、一般の工業製品とは異なる特徴もあるため、万が一、食中毒など食品にまつわる製品事故が発生した場合、被害が拡大しやすい製品群といえます。
2020年は、2019年に次ぎ、1995年以降で2番目に被害者数が少ない年となりました。しかし、被害者数はいまだ年間1万人以上であり、また、2000人を超える被害者を生じた集団食中毒事案が2件発生している状況です。このため、食品安全に対する意識の向上や企業での対策が求められています。
また2020年は、食中毒の発生率が例年高い販売店での発生率が減少していたり、ノロウィルスの感染数が激減するなど、例年の食中毒統計とは異なる傾向が見られました。これは新型コロナウィルスによる影響であると考えられます。販売店の発生率減少は、外出、外食を控えることで生じていると考えられます。また、ノロウィルスは接触感染により増加するところ、人同士の接触自体が減少したことで感染数も激減したものと考えられます。コロナウィルスの影響はこのようなところにまで生じていることが実感できます。