国内自動車火災訴訟に見るPL法の被害者保護(211221)

もともと製造物責任法(PL法)は消費者保護を目的として制定され、被害者側の立証義務を従来民放よりも軽減するものでありました。しかし実際には、日本国内における製造物責任法の提訴を難しくしている点として、原告による立証責任が挙げられています。製品技術に対し、十分な知見を持ち合わせていない一般消費者にとって、訴訟の場で科学的根拠に則った主張を行うことは大変難しいことが理由となっています。

これに対し2020年3月10日に東京地裁にて下された判決は、これまでのPL法の前例と比較し、注目すべき判決となっています。判決では、車(イタリア産高級外車)が走行中に炎上したのは、製造上の欠陥によるものとし、原告の主張を支持するものでした。これまでにも車両火災を欠陥として訴えた判例は多く存在しておりますが、原告の主張が認められる機会はほとんどありませんでした。しかしこの訴訟では、原告が車両整備を十分に行っていたこと、法定速度を守って運転していたことが認められ、当該車両の欠陥が認められる結果となりました。

本訴訟において、裁判所がどのような判断を下したかについては、非常に興味深い点ですが、残念ながら判例として公開されていません。そこで本稿では、まず本件訴訟に関して把握している範囲で解説を行ったうえで、この判決前後における類似の自動車火災に関するPL判例を読み解き、立証責任に関してどのように扱われているか、解説することとしました。

本資料が貴社のPL対策やリスクマネジメントに、いささかでもお役にたちましたら幸いです。

* キーワード:PL、製造物責任、PL訴訟、被害者保護、立証責任、欠陥の推定、欠陥、車両火災、訴訟対策
* 地域:日本

上記は、SOMPOリスクマネジメント社で配信している『PL調査レポート』のタイトルと概要です。