欧州における一般製品安全指令の改定案(220728)
欧州においては、製品安全に関わるルールである一般製品安全指令(GPSD:General Product Safety Directive)というEU指令が規定されています。このEU指令とは、欧州加盟国が守るべきルールを規定したものであり、欧州加盟国はこのEU指令に基づいて法令や規制を決めていくこととなります。このため欧州各国の製品安全にかかわる法令は、このGPSDを土台として作成されています。製品安全にとって、非常に重要な位置づけの指令となります。
現在欧州では、IoTやAI、自動運転やドローンなどの新技術の発展により、各種既定の見直しが進められています。例えば、これらに関わるサイバーリスクに対しては、2019年にEU指令が施行されており、AIについても委員会の中で検討中とされています。そのような中、製品安全のEU指令であるGPSDについても、20年以上前に制定されたものであることから、現状の新技術やビジネスモデルに対応しきれないのではないかという声が多数上がっており、改正の検討が進められています。
本稿で紹介する改正案は、2021年6月30日に公表されています。この案に基づき、委員会や有識者などの間で内容が検討され、改正にいたるものですが、約1年経過した現時点でも本改正案が妥結するという動きは確認できていません。このため、検討結果によってはこの改正案とは全く違う改正が行われる可能性もありますし、改正自体が行われない可能性もあります。
このような状況ではありますが、見方を変えれば、この改正案というのは、現在EUではどのような製品安全の考え方があるのか、どのような視点を重要視しているのかなどを知るための重要な情報であると考えます。
このため本稿では、現状の改正案が現行のGPSDと比較して、どのような変化があるかについて解説したいと思います。本資料が貴社のPL・リコール対策やリスクマネジメントにお役に立てば幸いです。
* キーワード:製造物責任、PL、リコール、製品安全、PS、欧州、指令、GPSD、改定
* 地域:欧州