BCP訓練
BCP訓練
コンサルティング
概要
事業継続計画書は策定しただけでは、実際の非常事態発生時に機能するとは限りません。
事業継続計画の実効性を強化していくためには、策定されたBCPをもとに訓練を実施し、BCPの検証や見直しを行うことが必要です。
当社では、策定されたBCPをもとに実施する訓練の効果を最大限に引き出す「BCP訓練コンサルティング」メニューを提供しています。
※本映像は2015年に作成したものです。
BCP訓練の効果と狙い
各社から寄せられているBCP訓練に求める効果や狙いには、以下の様なものがあります。
当社では、皆様の希望を踏まえてBCP訓練をプランニングしています。
1.BCPの浸透・気づきの発見
- 限られたメンバーでBCPを策定したが、役職員の認識度が低い。訓練を通じて、BCPの方針、行動手順を理解し、全社的な取り組み体制を築きたい。
- 多数の役職員の参加により、BCPの実現性に関する不備等の気づきを発見したい。
2.実効性の検証
- 重要業務の継続方法として、代替システム、手作業、代替拠点等による業務継続を机上で計画したが、実際に計画通りの行動、時間設定が達成できるのか確認したい。
- 訓練を通じて、BCPマニュアルの実効性と改善事項を確認したい。
3.要員の育成および対応力向上
- BCPに関わる要員が個人としての役割、所属する部門としての役割を遂行できるようにしたい。また、代行者、新規メンバーに対しても同様の能力を身に付けさせたい。
4.意思決定能力の育成
- 災害対策本部長等の権限者にさまざまな役割(判断事項等)を与えているが、有事の混乱した状況下で、このような役割が果たせるのか実証したい、また、これらの能力を身に付けさせたい。
上記以外にも、「顧客や取引先に事業継続体制をアピールしたい」「CSRの一環として、BCP訓練を外部に発信したい」など、社外関係先を意識した声もあります。
コンサルティングの進め方
BCP訓練支援のコンサルティングは以下の4段階で進めていきます。
訓練の計画、実施、検証そして対策実施をPDCAサイクルとして回すことが訓練を行う上で重要となります。すなわちさまざまな形態の訓練を反復して(年1回程度)実施していくことで、自社のBCMのレベルが向上していきます。
STEP1 Plan:計画
(1)訓練目標の設定
訓練の明確な目標を定め、この目標を達成するために必要な役割・行動は何か、訓練内ではどの部分を検証するかを設定します。
ここで、あまり多くの目標を設定しないこと、現状のBCPと同レベルもしくはやや上に抑えることがポイントです。
多すぎる目標設定、高すぎる目標設定とすると、現状の不備ばかりが目立ち、BCPの検証そのものが十分に行えないことがあります。
(2)既存文書の検証
業務継続体制の現状レベルを確認するため、まず既存の災害系のマニュアル等の文書を精査し、訓練のシナリオとして使用できる組織体制、役割、行動手順が的確に定められているかを検証します。
これらの検証結果によって、皆様の状況に応じた訓練シナリオの策定を支援します。
※組織体制、役割、行動手順が定められていない場合、貴社に適切なものを提案し、訓練のシナリオ作りを支援します。(コンサルティングのオプション項目)
(3)訓練実施の全体フレームの策定
現状レベルを把握した後、訓練やシナリオに必要となる項目を明確にし、訓練実施の大まかな流れ(フレーム)を策定します。
ポイントとなる項目には以下の様なものがあります。
対象リスク | 新型インフルエンザ ・ 感染症 ・・・・・・etc. |
対象拠点 | 本社 ・ システムセンター ・ 生産工場 ・ 主要拠点 ・ 営業店 ・・・・・・・etc. |
対象者 | 経営層 ・ 災害対策部幹部 ・ 災害対策本部実動部 ・ BCP業務班・バックアップ要員 ・ 緊急参集要員 ・ 関連企業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・etc. |
対象日時 | 海外発生時 ・ 国内発生時 ・ 自社発生時 ・・・・etc. |
訓練形態 | 状況予測型 ・ 役割行動型(シナリオ提示型) ・ 同(シナリオ非提示型)・etc. |
・・・・etc. |
<<訓練全体フレームをフロー図として表した例>>
参加者の役割の連携を時系列で表す
(4)被害想定シナリオの策定
訓練の前提条件を明確にするために、社会状況、各拠点の被害想定を作成します。
例えば、新型インフルエンザの場合は、社会情勢、インフラ機能、自社の役職員の健康状態等の想定を行います。
訓練の実施形態(後述参考)により求められる想定の精緻さは異なります。ただし、参加者に臨場感を持たせるためには、可能な限り現実的な想定を行うことが訓練の臨場感を生み出すポイントであると考えています。
※本社や代替拠点などの重要拠点の被害想定については、建築構造、建築設備、災害対策用の部屋や備品等の状況を把握する必要があります。詳細な被害想定を作るためには、実際に現地調査を行うこともあります。(コンサルティングのオプション項目)
<<被害想定を各項目の時系列で表した例>>
流行状況、交通機関等の運行状況を日経過として表す
(5)訓練形態の選定
訓練の実施形態については大きく以下のA~Eに分類しています。
A、Bについては、主にBCP策定後の間もない時期に教育・理解を目的に実施します。
C、Dの訓練は、基本的な机上で行う訓練形態ですが、状況設定や役割設定の細かさ、習得したい能力などによって形態を選定します。また、Eの実動訓練を組み込んで、訓練をより実戦的なものにすることも有効であると考えます。
訓練に参加する組織やメンバーの現状レベルに応じた訓練形態を選定するとともに、それぞれの形態の良い点を組み合わせた訓練にすることがポイントです。
訓練形態 | 訓練の特徴 | |
---|---|---|
A. セミナー | 多くの職員を対象にしたBCPの理解を中心とする講習会。 | |
B. 文書検証 | BCPの読み合わせによる検証やガイドライン等との照合により実行可能性や整合性を確認する。 | |
C. 状況予測型訓練 (イメージトレーニング) |
最小限の条件設定のもとで、状況を予測する能力を養う訓練。ワークショップ形式で実施されることが多い。 | |
(ロールプレイング) D.役割行動型訓練 |
D-1 シナリオ 提示型 |
詳細な被害状況の設定下で、BCPを基に作成した訓練シナリオ(台本)を実行し、役割・行動を体得する。 |
D-2 シナリオ 非提示型 |
詳細な被害状況の設定下で、コントローラーが適時、追加状況を付与し、状況を予測しながら、行動、判断等の意思決定を行う。 | |
E.実動訓練 | 安否確認システム、無線機等の機器の操作、対策本部の設営、手作業による業務処理などの訓練がある。 |
(6)訓練シナリオの作成
役割行動型訓練(シナリオ提示型)(前表D-1)などにおいて、参加者の役割・行動を予め明確にするために “いつ、誰が、誰に、どのように、何をする”といった行動を記した、訓練シナリオを作成します。これにより、参加者が行動手順を体得することができます。
訓練参加者全員がこの訓練シナリオを読み込むことで、他者の役割・行動も認識できることがポイントです。
<<訓練シナリオの例>>
実時刻、想定時刻に沿って、誰が何を行うかを記載する
(7)情報集約ツールの活用
災害対策本部の新型インフルエンザ流行時の活動としては、各拠点や各事業所の感染状況(職員・その家族の安否等)を収集し、迅速に状況を把握することが必要です。
当社では、雛形の情報集約シートを提供すると共に、ご要望によって各社の事情に応じたシートの策定も支援します。 情報集約ツールは、報告先が必要とする情報、最優先事項の強調を考慮して作成することがポイントです。
<<役割行動型訓練(シナリオ非提示型)のイメージ図>>
各種状況付与に対し、担当者が整理、判断を行う
STEP3 Check:検証
訓練の検証は、訓練実施における最も重要なステップと言えます。
訓練計画時および実施時において、抽出された課題(備品の不足やツールの不備など)、実施時の状況、アンケート結果などについて、評価項目で分類して検証し、検証結果を「評価」、「課題」、「対応策」などの観点で報告書として取りまとめます。
評価項目の例としては、「役割・行動」、「情報収集・整理」、「連携」などが挙げられます。
また、この評価報告書は、経営層への報告や今後の改善計画立案に役立つものであり、ご要望に応じ経営トップへの報告会の実施も支援しています。
STEP4 Action:対策実施
STEP3で検証した結果から、対策が確実に実施されるように対策実施アクションプランを作成します。
また、対策の方向性、具体的事例のアドバイスとともに、実際のBCP改定支援までのサポートを行っています。
対策実施アクションプランには、「課題」、「対策事項」、「担当部門」、「コスト」、「実施時期」、「実施レベル」「管理責任部書(者)」を目核にすることがポイントです。また、対策実施では個別課題について、身近な相談先を確保しておくことも重要となります。
当社コンサルティングのメリット
当社のコンサルティングを利用して訓練を実施する場合、以下のようなメリットがあります。
訓練のステップ | 事務局の課題 | 訓練の特徴 |
---|---|---|
STEP1 (Plan:計画) |
・最適な訓練のやり方が分からない ・被害想定にリアリティが出せない ・専任者がおらず十分な準備が出来ない |
・ニーズに応じて最適な、訓練企画を効率的に行うことが可能 ・リアリティのある被害状況の設定が可能 |
STEP2 (Do:実施) |
・社員のみで訓練を行っても緊張感がない ・訓練に必要な人員を確保できない ・訓練に必要なツールがない ・毎回同じ内容となり変化がない |
・訓練の規模に応じて必要な要員やツールを準備可能 ・難易度に応じて変化を付けることが可能 |
STEP3 (Check:検証) |
・訓練をやるだけで満足してしまう ・社内の評価ではどうしても甘くなってしまう ・他部門に対して意見が言いにくい ・客観的な意見が欲しい。 |
・確実に検証、対策を行う体制に持ち込むことが可能 ・多角的な視点から、客観的・中立的な立場で、一定の基準に基づいた評価が可能 |
STEP4 (Action:対策実施) |
・経営層に説明するための報告書をとりまとめる人的・時間的余裕がない ・どの課題から取り組めば良いのか客観的な判断が欲しい |
・検討段階から訓練評価、課題抽出、対策の実行プラン作成まで一貫した取りまとめが可能 ・対策の実施支援が可能(事例紹介) |
コンサルティング事例・実績
製造業
・対策本部の状況予測型訓練(ワークショップ形式)の支援
・対策本部の役割行動(シミュレーション形式)訓練(実働含む)の支援
・本社対策本部と現地対策本部の連携訓練の支援
流通業
・対策本部訓練(文書検証型)の支援
・受注出荷、コールセンター、基幹系ITインフラ訓練(文書検証型)の支援
金融業
・経営層による文書検証型訓練の支援
・IT部門訓練(初動対応、サーバー機器点検、事務処理手作業)の支援
金融サービス業
4拠点同時実施のグループ対策本部訓練(情報収集・集約等)の支援
自治体
地震発生時の災対本部・避難所本部の役割行動訓練の支援
コンサルティング料金
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